龍潭譚背景イラスト

龍潭譚 Tyutandan IzumiKyoka × GakuNakagawa

インタビュー

泉鏡花、そして繪草子『龍潭譚』の魅力とは?泉鏡花記念館学芸員 穴倉玉日(あなくら たまき)さんインタビュー

2011年8月6日から11月6日まで、金沢にある泉鏡花記念館で企画展「泉鏡花×中川学『龍潭譚りゅうたんだん』~Mac×Illustratorでよみがえる幻妖の美の世界~」が開催された。この企画展を担当した同館の学芸員であり泉鏡花研究者としても知られる穴倉玉日さんに、泉鏡花の面白さ(とハマり方)そして中川学さんが描いた『龍潭譚』の世界の魅力を語っていただいた。繪草子『龍潭譚』で泉鏡花を知った“鏡花ビギナー”、この絵本が気になっている泉鏡花のコアなファンの両方にぜひご一読いただきたい。

ロマンチックな世界観に惹かれて

泉鏡花作品との出会いは、中川さんと同じく坂東玉三郎さんが主演された映画『夜叉が池』でした。まだ幼かったのでストーリーはわからなかったのですが、印象的なシーンは記憶に残っています。その後、高校生のときに国語の教科書の副読本で『蓑谷』という作品を読みましたが、文語体で難しかったし「不思議なものを書いている人がいるんだな」と思ったくらいでした。

ところが、大学に入ったときの指導教官がたまたま泉鏡花の研究者だったんです。例年は「専門だからこそ鏡花はやらない」という、少し偏屈で変わった先生でしたが、私が入学した年だけは演習で鏡花を取りあげて。すごくハマったのはそのときからです。「泉鏡花で卒論を書きます」と言ったら「食えないからやめろ」と反対されたんですけれども、当時11万円もした全集を買ったらさすがに先生もあきらめたみたいで(笑)。大学院は「鏡花をやるなら金沢に行かなければ」という思いで金沢大学に進みました

最初に惹かれた作品は『外科室』。言葉を交わしたこともない人が、植物園ですれちがいざまに目を合わせた一瞬のうちにお互いの思いを知るという、女の子っぽいけれどすごくロマンチックな世界観が好きでした。説明し過ぎない文章がかえって想像をかきたてるようなところも。そのあたりから鏡花の世界に入っていったように思います。